塩田武士「歪んだ波紋」レビュー【注意】ネタバレあり

歪んだ波紋

新聞の誤報やテレビの捏造等にまつわる5つの短編連作。フェイクニュースという比較的新しいテーマだったので、エンターテイメント系かと思いきや、これは情報化社会のハードボイルド小説。

フェイクニュースでレガシーメディアをおとしめ、新しいメディアを作る組織の存在。そんな組織の狙い通りにレガシーメディアを信用しなくなってる私達。

なんかどこかで聞いた事があるリアリティあるストーリー展開で、物語へ一気に引き込まれます。それぞれの短編の断片的な出来事が伏線となり、最終章で回収される流れは見事。

リアルでも

自分の仕事に置き換えて考えてみても、雑誌・新聞が休刊廃刊に追い込まれ、Webメディアへ移行してる。

webメディアは新聞や雑誌と違い、ログが残るしアーカイブとしていつでもみれるというメリットがある一方で、都合の悪いものは後からいつでも修正できるし、消したりできる2面性がある。

どっちが悪というのはなく、受け取る側の感覚が今後より重要になると思われます。

情報選別には自信がある方だと自負してますが、
東日本大震災の時はほんまなんの情報を信じればいいのか分からんかったので溢れる情報から自分たちが信じる情報を取捨選択するしかなかった状態でした。

原発は安全と言ってたけどやはりメルトダウンして放射能漏れしてたし。当時発表してたら東京はパニックになってたであろう、今さらってタイミングで報道と情報操作の意図を感じる。

風評被害と言われてますが、どちらかというと自分たちは自己防衛という意味合いでサカナを極力控え、食物の産地を確認しながら口にするモノを選ぶ生活を続けてました。特に子作りしてたというのもあるが。

パワーワード

物語の最後に出てくる二つのワード

「記者は現場やで」「浅瀬にとどまるな」

が心から離れない。

机の上やパソコンの前、スマホだけではダメ。情報の本質は現場にあり、物事に対する向き合い方、まさにその通り!言い得て妙。

本のセリフでメモとったの初めてかも。

いい本に出会えた。

著者は塩田武士さん。今回の作品が初でしたが、他の作品も読み込んで見たいと思います。

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